E3 複雑系実験

研究分野のキーワード

不規則系、ソフトマター、時空間・生命物理、生体構造、量子ビーム
(生命物理・生体構造、非線形・非平衡ダイナミクス、集団・協同現象(運動)、ナノ・メゾスコピック)

分科群の内容

複雑系実験分科群とは、無秩序で等方的な液体相と、3次元の完全な並進秩序を持つ結晶(固体)相のはざまにある、低次元秩序をはじめとするさまざまな相状態の物性物理を実験的に研究する分科群である。対象とする物質群は、クラスター、液体金属、イオン液体、ソフトマター、液晶、高分子、2分子膜、コロイド、エマルジョン、タンパク質、生体高分子、ガラスなど、複雑かつ高機能で身近な数多くの物質が属する。これら、多種多様な中間状態の起源は、多体、多自由度、多成分といった物質内のヘテロ性と、物質が接する界面のトポロジカル構造などに由来し、これまで純粋なバルクを対象として理解を進めてきた物理学のなかにあって、その原理を理解することは新しいチャレンジの1つである。そして、それぞれの状態間の相転移は統計物理学の基礎モデルの宝庫でもある。

複雑系の構成要素である、原子、電子、イオン、分子、高分子、さらには超分子といった複合体が織り成す空間構造は、ミクロからマクロまでの広い空間スケールにわたり、さらに中間的なメソスケールには、階層的規則構造や超構造といった、新しい対称性を持つ物質の発見や解明が期待される。そこで、空間波長の異なる種々の量子ビームとしての、X線、中性子線、自由電子レーザー、可視・UVレーザーを駆使し、新しい空間対称性や、超構造を明らかにしている。

一方、複雑系は固体(結晶)としての弾性と、液体(流体)としての粘性の両方を同時に示し、特異な協同的ダイナミクスを示す。また、スケールの異なる複数の自由度の交差結合に起因した、非線形・非平衡ダイナミクスが重要な役割を担う。さらに、低次元系、少数性に由来した大規模な揺らぎが特徴づける運動を示す。これらのダイナミクスを理解するため、多種多様なプローブを用いた、時間軸・エネルギー軸のスペクトロスコピーを行い、現象の物理的本質に迫っている。また、分子モーターや反応拡散系といった、物質内部にエネルギー源を有するアクティブマターの研究など、化学・生物との境界領域の物理学にもチャレンジしている。


E3 複雑系実験

分科群の構成

基幹講座

不規則系物理学 (詳細ページへ)

自然界には階層構造を縦断し、量子現象に始まり非平衡過程に到る多くの現象がある。本分科では、このような現象のモデルとなりうる状態を実験室で実現させるために、電子系と原子系が強い相関をもつ液体やクラスター(数個から数万個の原子集団)を研究対象として取り上げ、その微視的および巨視的物性をシンクロトロン放射光やX線自由電子レーザー(XFEL)などを駆使して研究している。

  • 准教授:松田 和博/
  • 助教:永谷 清信/
時空間・生命物理学 (詳細ページへ)

自発的に運動する粒子や生命現象など、時間発展する柔らかいシステムを研究対象とする。複雑な現象の背景にあるその本質を、分岐や相転移などの物理学の切り口でもってシンプルな形で解明することを目指す。

  • 講師:市川 正敏/非線形科学、ソフトマター物理
ソフトマター物理学 (詳細ページへ)

ソフトマター物理とは、液晶・高分子・エマルジョン・ゲルから生体構造にいたるまで、やわらかな物質群を研究する物理学である。ソフトマターは、ナノスケールからマクロまで何段階にも渡って、ヘテロな自己組織化階層構造を内部に持っている。本分科では、物質の構造とダイナミクスを測定する様々な手法を駆使して、新しいソフトマターの創生、機能性発現、原理の解明を行う。

  • 教授:山本 潤/ソフトマター物理、液晶物理
  • 准教授:高西 陽一/液晶物理、ソフトマター物理
  • 助教:石井 陽子/ソフトマター物理、レオロジー

協力講座

生体分子構造 (詳細ページへ)

物質の構造や結晶構造を明らかにしてミクロの立場から理解するための実験的研究を行う。具体的には、生体関連物質、化合物、水素結合化合物などの単結晶を扱い、主として中性子散乱、X線散乱を測定手段として、メカニズムを研究する。研究対象を生体高分子の立体構造及び動態についての物性研究にひろげ、構造と機能相関を明らかにする。

  • 教授:森本 幸生/
  • 教授:杉山 正明/
  • 准教授:井上 倫太郎/
  • 助教:川口 昭夫/
  • 助教:喜田 昭子/
  • 助教:大場 洋次郎/

参考情報

分科群・分科一覧