時空間・生命物理学分科

スタッフ 講師 市川 正敏

物理学のアプローチを用いて、生命現象や生物が見せる現象、それらを含んだ非平衡・非線形な現象の解明を目指しています。特に、脂質二分子膜系、非平衡界面、アクティブマター、細胞運動、非平衡の輸送現象、などを興味の対象として研究している実験系の研究室です。iCeMS田中求ラボとも連携しています。

脂質二分子膜小胞

両親媒性分子である脂質分子は、リポソームと呼ばれる細胞の様な膜小胞を形成します。リポソームの形成過程を物理の視点で明らかにする事で、膜小胞の新しい作成法の開発やその応用を行っています。新しい作成法によって新奇な物質系を作成し、膜小胞が見せる相分離や形態変化なども研究しています。

非平衡界面

界面に温度勾配や化学物質の濃度勾配が存在すると、マランゴニ対流と呼ばれる対流が引き起こされます。この様な対流や表面張力は時として自発的に対称性を破り、界面や液滴を自律的に運動させます。このとき現れる運動モード分岐や変形のメカニズムを研究しています。自律的に変形しながら動く液滴は、まるで生きた細胞の様です。

アクティブマター

アクティブマターとは自発的・自律的に運動する物体やその集団挙動を指す言葉です。我々は、静電誘電的な泳動や、加振板上の物体運動などの実験を行っています。ガタガタ揺らした机の上に置いたタワシの運動を想像すると分かりやすいかもしれません。特に、カイラリティを入れたダンベル粒子、非ニュートン流体、連成粒子などでの加振実験を行っています。

細胞運動・生命現象の物理学

細胞は自らを組織化させ、平衡系では見られない秩序形成や転移現象を示すことが知られています。近年、そのメカニズムや細胞に与える機能を明らかにする実験手法・理論がうまれつつあります。細胞運動や発生を例として、非平衡系に固有のダイナミクスに着目し、生命現象を物理学の視点から解明する研究を行っています。

非平衡輸送

分子や粒子が温度勾配の下で輸送される現象が100年以上前から知られていますが、そのメカニズムは明らかではありません。計測技術の進展により、微小な分子や粒子を可視化し、非平衡輸送を解析することが可能となってきました。我々は非平衡輸送の機構解明、輸送を介した新規の秩序形成の理解について研究を行っています。