ソフトマター物理学分科

スタッフ 教授 山本 潤
准教授 高西 陽一
助教 石井 陽子

ソフトマターとは液晶や高分子、ゲル、コロイドや界面活性剤といったやわらかい物質の総称である。ソフトマターでは多数の異種分子が物質内部で自発的に秩序を形成し、さらにその秩序構造が階層的に積み重なって高次構造を作る。我々の身の回りでは、液晶ディスプレイから生体構造まで、多くの物質がソフトマターに属している。当研究室では、偏光・蛍光・位相差顕微鏡からX線回折装置、レーザー、放射光施設のμビームX線など、最先端の量子ビームなどを駆使し、物質内のナノ構造を解明とその物理的起源を研究している。また、動的光散乱や粘弾性スペクトロスコピーなどを用いて、ソフトマターに内在する大規模な揺らぎとダイナミクスの普遍的な理解を目指すとともに分子の輸送現象を研究している。

ソフトマター複合系におけるフラストレーション‐ナノ構造形成とダイナミクスの動的結合‐

液晶相に異分子、高分子、粒子といった不純物をドープした系では、液晶秩序と不純物との間に生じるフラストレーションにより、新しい相・ナノ構造・動的に結合したダイナミクスなどが生まれる。当研究室では、等方秩序と呼ばれる不思議な相を始めとして、さまざまな新しい複合液晶相を見出してきた。また、これらの新しい液晶相の液晶相間の相転移・ナノ構造・特徴的な揺らぎなどを、広帯域で高感度な、空間・時間のさまざまなスペクトスコピー実験装置群を用いて研究している。

分子マニピュレーションとフォトニック構造

秩序変数の空間勾配を場とした分子マニピュレーションの原理を発案し、アゾ色素の光励起異性化を用いた試作機の作成に成功した。レーザー干渉縞による改良型分子マニピュレーターを用いて、チューナブルなフォトニック構造生成を研究している。

液晶相を内包する微小球複合体‐DDSナノミセルと微小球レーザーナノエマルジョン‐

特殊な性質を持つ高分子を界面活性剤として用いることで、疎水性の高い液晶を水中に分散させ、この微小な球体内部に液晶相を閉じ込めることに成功した。また、このほとんど透明な溶液中において、球体内の液体‐液晶相転移を確認した。さらに、球体内の液体‐液晶相転移を用いて、物質や電磁波の閉じ込め・放出の制御を試みている。これらの新しいナノ複合体は、ドラックデリバリーシステム(DDS)や、全方位に等方的にレーザー発光する微小球レーザーとして応用の価値も高い。