目的と研究計画

京大物理のGCOE 普遍性と創発性から紡ぐ

京都大学の物理を結集した組織

 本拠点は京都大学理学研究科の物理学・宇宙物理学専攻が一体となり運営するものです。具体的には、物理学第一、物理学第二、宇宙物理学の三教室からなる基幹講座に基礎物理学研究所をはじめとする協力講座が加わり、京都大学の物理学分野の活動の中核を結集した組織になっています。この組織には約120名の教員および約150名の博士後期課程大学院生が含まれます。

 京都は日本の伝統文化の中心地であるため外国人研究者の訪問も多く、また、基礎物理学研究所は国際会議や、研究会の開催を主な業務とする共同利用研究所であり、世界の同様な研究所の先駆けとなってきました。本拠点はこうした環境と実績を背景にして、新しい物理学を国際的に発信する基地として、また国際交流のセンターとして、京都大学がさらなる役割を果たすことを目指しています。

理念:「普遍性と創発性から紡ぐ」とは?

 本拠点が研究の対象とする自然は極小の素粒子・原子核から、生命や地球を含むマクロ物質、そして極大の宇宙など多様な階層から成り立っています。これは、構成粒子の数や時間空間のスケールの違いが、質的に異なる階層として多様な現象と法則性を生み出しているからであり、それぞれが独自の概念と方法論を持った研究分野となっています。人類の自然認識は、このような現象のもとになっている基本法則や、多様な現象に共通する普遍性を追求する一方で、演繹的推論だけでは予想もできない多様で新しい現象の創発を探求することにより発展してきました。この普遍性と創発性の相補的共存はまた、新しい分野の創生の原動力でもあります。

 京都大学では物理学の最先端フロンティア研究を一層推し進めて自然現象の普遍性を探求すると同時に、新たに創発性を強く意識した融合フロンティア研究を推進します。本プログラムの目的は、普遍性と創発性が紡ぐ次世代物理学を構築するとともに、フロンティアを自立して開拓しうる有用な人材を養成するための国際的に卓越した教育研究拠点を形成することにあります。

本拠点のロゴ

円相ロゴ  本拠点のロゴは禅の「円相」を基にしたもので、大徳寺の元管長である小田雪窓老師の書をデザイン化したものです。円相は無一物中無尽蔵(むいちもつちゅうむじんぞう)、すなわち、何もないと思える中に実は限りなくたくさんのものが詰まっている、ということを表現しています。この黒い円はギリシアの「ウロボロスの蛇」にも通じる自然観、普遍性を表し、一方、カラーの輪は創発性を表現しています。「創発」とは、既知の基本法則からの演繹的推論だけでは予想もできない多様で新しい現象の発現をさします。

独自の新制度を導入した人材育成プログラム

 教育面における目標は「フロンティア開拓のための自立的人材養成」です。すなわち、単に既存の学問分野を深化発展させる人材だけではなく、既存の学問分野を乗り越えて境界分野や新しい学問体系を開拓できる人材の養成を目標としています。そのために、自由な発想や自主性を尊び、国際性豊かで刺激的な教育研究環境を強化するための、いくつもの独自の制度を導入します。

BIEP(双方向滞在型国際交流プログラム)

 物理学の進展には国際協力が不可避であり、若手研究者養成においても、国際的な教育研究環境が必須です。本拠点では、3ヶ月程度を単位として、大学院生の国際招聘および海外派遣による双方向の滞在型国際交流制度を導入します。

TRA(Teaching-Research Assistant)制度

 TA業務は、学部での良質な少人数教育の実現はもとより、大学院生自身の物理学の正確で深い理解に繋がります。また学部生との交流が人間的な成長の契機となり、高い社会的見識を有する多様な人材輩出の芽となります。本拠点ではわが国の大学院教育に適合した新しい制度として、独自のTRA制度を創設します。これは、院生が基礎力を高め実践力を身につけながら経済的にも自立できるようにするためもので、TA業務を必須とし同時にRAとしての役割も担えるようにします。また京大の自学自習の伝統である「学部学生自主ゼミ」のチューターをTA業務の対象範囲として認め、さらに大学院生組織としてのTRA連絡会の運営を支援します。

カリキュラム改革

  国内外の大学から多様な人材が博士後期課程への編入してくるのを奨励するため、後期課程編入試験を整備し制度改革を行います。他分野の出身者が戸惑うことなく学習・研究を始められるように、特別な教育カリキュラムを創設します。また、一般のカリキュラムについても、専門分野以外の講義の履修を義務付けると共に、産業界、教育界、科学政策分野等の異分野の専門家の講演を積極的に取り入れ、視野の広い自立的研究者を養成します。さらに大学院生の科学英語能力を強化するため、英語を母国語とする物理学者を特任准教授として任用し、科学論文執筆の指導に加え、発表や、議論の指導も行います。

キャリアパス支援

 京都大学キャリアサポートセンターや、京都府・市教育委員会と連携して若手研究者のキャリアパス拡大・支援に取り組みます。

次世代物理学を育む研究プログラム

 研究面においては、各階層の最先端分野の研究を一層推し進め、多様な現象に横たわる普遍性を追求するとともに、多様な階層の連結、さらには、創発性豊かな境界・融合分野の開拓を意識的に追求します。具体的には、以下に示すように最先端領域と融合領域両面で研究プログラムを推進・発展させるとともに、特別研究ユニットによって新分野を開拓します。

最先端フロンティアの開拓

先a) ニュートリノ振動から大統一理論・究極理論へ
先b) クォーク多体系の新しい存在形態の探求
先c) 極限天体・最遠方天体の探査研究と新しい宇宙像の構築
先d) 新量子凝縮相の物理

融合フロンティアの開拓

融e) 非平衡開放系のダイナミクス(宇宙プラズマ現象から生命現象までを網羅する)
融f) 量子線ビームによるイメージング科学の開拓(素粒子実験技術で物質・生命現象を捉える)
融g) 原子を用いた量子情報、基礎物理の探求(光・原子実験と素粒子対称性理論との融合)
融h) 特別研究ユニットによる新分野の開拓

特別研究ユニット

 境界・融合分野および階層連結の新手法の開発に焦点を絞って強力に研究を推進するために、特別研究ユニットを設置します。具体的には若手登用を念頭に、国際公募により特任教員(任期5年程度の准教授と助教をあわせて4〜5名)を採用します。

委員会活動を軸にした運営組織

 本拠点計画の運営体制の特徴は、拠点リーダーとサブリーダー5名から構成される拠点ヘッドクォーターを中心に、実務を担う委員長会議を設けて、運営を強力かつ円滑に推進することにあります。

ヘッドクォーター

 拠点ヘッドクォーターは日常的に会合を行い、研究・運営戦略を練ると共に、委員長会議を通じて拠点全体の活動を掌握し、拠点事務局に事務運営を指示します。また物理学・宇宙物理学専攻の運営組織と密接な連携を図り効率的に運営します。

委員長会議と委員会

 委員長会議を毎月2回程度開き、ヘッドクォーターのメンバーと各委員会の委員長が本拠点の目的を実現するための具体的活動を企画立案すると共に、各委員会に活動実施を指令し、また各委員会の活動状況を的確に把握する機能を担います。

 各委員会は以下の通り、拠点運営の実務を効果的に推進できるように組織されています。専攻内の各分野の教員が多数参加し、委員会ごとの予算計画も含めて実務の遂行にあたります。この制度は21COEにおいて機能性と有効性が実証された方式を発展させたもので、組織や、専門分野を越えて、若手を含む多数の教員がCOEの運営に自主的に関与するとともに、活発に人的交流・連携する機会が大いに増えます。

運営関連

運営関連
1.経理委員会
2.点検・評価委員会
教育関連
3.双方向国際交流委員会
4.TRA委員会
5.カリキュラム改革委員会
6.キャリアパス支援委員会
研究関連
7.国際会議開(外国人招聘委員会)
8.国内ビジター委員会
9.PD委員会
10.研究支援委員会
特別研究ユニット
11.特別研究ユニット委員会
広報
12.アウトリーチ委員会
13.ホームページ委員会