重力波を用いた新しい天文学を切り拓き,宇宙の高エネルギー天体現 象やブラックホール,初期宇宙の姿などの直接観測から,新しい宇宙像 を得ることを目指し,重力波検出器の開発と,それを用いた観測に従事 してきた.
地上における重力波検出器としては,国立天文台(東京・三鷹)に建設 された,基線長300mのレーザー干渉計型重力波検出器TAMA300の開発, 建設,観測,データ解析,および国外プロジェクトとの共同観測などに 従事した.それと並行して,国内機関が共同して,2018年頃の観測開始 を目指して進めているLCGT計画の推進にも参加している.
その一方で,LCGTの次の計画と位置づけられ,2020年代後半の実現を
目指している宇宙重力波望遠鏡DECIGO計画のための基礎研究も進めている.
DECIGOでは,その前哨衛星としてDPF(DECIGO Pathfinder)という小型衛星
を打ち上げるといったロードマップが立てられており,このDPF衛星計画
の推進に携わってきている.その一環として,大きさ20cm立方, 重さ5kg
程度の超小型宇宙重力波検出器SWIMの開発と,軌道上動作試験などの宇宙
実証にも従事した.またそれに関連して,高高度大気球や航空機を用いた
微小重力実験にも参加してきた.
本グローバルCOEプログラムでは,重力波による天文学に加えて,重力そ
のものを研究対象として,宇宙や時空の成り立ちに対する知見を得ること
を目指している.重力波検出器で用いられるレーザー干渉計を用いた精密
計測技術や外乱除去技術を応用し,1mm以下の近距離での重力を直接測定し,
これまでにない精度で重力法則の検証を行う.それによって,重力だけが
他の力と比較して小さすぎるという現代物理の問題や,それらの問題を解
決するために提唱されている余剰次元理論の検証といった問題に迫ること
を目指す.
自転車通勤のおかげで少し体力がついた,かな?