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平成23年10月17日

天の川の中心での星の誕生のベビーブーム(?)を発見

銀河の中心部は、大質量ブラックホールや大量のガス、非常に密集した星の大集 団などが混在していて、天文学でもっとも重要な場所の一つです。私たちの太陽 系を含む銀河系の中心は、いて座の方向にあり、特に1960年代以降には様々な方 法で観測が行われてきました。しかし、一般に星の年齢を推定することは容易で はなく、どのように星が作られてきたかという詳細な歴史はわかっていませんで した。

これに対して、宇宙物理学教室の長田哲也教授・東大の松永典之研究員らの研究 グループは、銀河系中心の方向を、星間塵の影響を受けにくい近赤外線で繰り返 し観測し、セファイド変光星を世界で初めて銀河系中心に3個発見して、変光周 期と星の年齢との間の関係から、星形成の歴史を探りました。他に名大・国立天 文台・ローマ大・ケープタウン大のグループとの共同研究です。

今回見つかった3個のセファイド変光星の周期は、いずれも20日に近い値でした。 このように同じ周期の変光星ばかりが集中して見つかることは、まったく予想し ていませんでした。これらの星の年齢は約2500万歳で、今から2500万年ほど昔に 多くの星が生まれたことの証拠となります。一方、それより短周期の(質量が軽 く、年老いた)セファイド変光星が太陽近傍などには非常に多いのに、今回は短 周期セファイド変光星が一切見つからなかったことは、3000〜7000万年前に生ま れた星の少ないことを示しています。銀河系中心に対して、このように数千万年 前の星形成の歴史を詳しく調べることができたのは初めてのことです。

本研究成果は、2012年9月8日に英科学雑誌「ネイチャー」(電子版には8月25日) に掲載され、新聞報道されました。
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[図の説明:日周運動する天の川をバックにした、1.4mIRSF望遠鏡(日本が、 南アフリカ天文台サザーランド観測所に建設)。これにSIRIUS近赤外線カメラを 取り付けて観測を行なった。ドームの真上の赤い筋はカリーナ星雲 NGC3372、そ の上にはみなみじゅうじ座が見える。]