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平成23年4月15日

福江翼さんが井上研究奨励賞を受賞 

[図の説明:オリオン大星雲の円偏光の赤外線観測結果 円偏光の2成分の強さを、赤色と黄色の輝度で表示している。強い円偏光が 太陽系の何百倍にも相当する空間に広がっていることがわかる。(提供 国立天文台)]

2011(平成23)年2月、本拠点出身の福江翼さんが財団法人 井上科学振興財団から、第27回(2010年度)井上研究奨励賞を受賞しました。

この賞は、過去3年の間に自然科学の分野で博士の学位を取得した35歳未満の研究者であって、新しい領域を開拓する可能性のある優れた博士論文を提出した研究者に贈呈されます。全国でわずか30人が受賞できます。

福江さんが本学に提出した博士論文は「星惑星形成領域の偏光研究」というテーマでした。とくに、光の振動の偏りである「偏光」という性質に着目して、理論と観測の両面から研究がまとめられています。

福江さんはチームと共同して、南アフリカに設置されているIRSF望遠鏡を用いてオリオン座にあるオリオン大星雲の偏光を調べました。IRSF望遠鏡は本学や国立天文台の協力のもと、名古屋大学と南アフリカ天文台によって運営されている赤外線望遠鏡です。オリオン大星雲はたくさんの星が生まれつつある領域であり、わたしたちの太陽系の形成過程を調べる上でも非常に重要になっています。

観測の結果、円偏光と呼ばれる特殊な光が太陽系の大きさのおよそ400倍以上にもわたって広がっていることを発見しました(図)。また、このような円偏光がどのように生じているのかについて、理論モデルと観測データを駆使して塵の整列の影響を調べました。さらに、発見された円偏光について、生命の起源や宇宙生物学(アストロバイオロジー)の観点からも議論を展開しています。

福江さんは次のように話しています。 「このたびの受賞は、偏光の理論研究やイメージング観測、宇宙生物学といった新しい分野の研究に対してたいへん大きな励みになり本当に感謝しております。博士論文をまとめるにあたっては、長田哲也教授にご指導いただきました。多くの方々に支えて頂きました。お世話になっているみなさまに厚く御礼申し上げます。また、本受賞が大学院生の新たな研究分野への挑戦をいっそう勇気づけるものとなれば幸いです。引き続き努力を重ねて参りますので今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。」

福江さんは、2009(平成21)年3月に本学大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻で博士(理学)の学位を取得した後、2009年4月から国立天文台ハワイ観測所研究員として活躍を続けています。

井上科学振興財団
福江翼さんのウェブサイト