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平成23年1月13日

本GCOE博士課程3年 信川正順さんが日本学術振興会「育志賞」を受賞

 このたび、本GCOE博士課程3年 信川正順さん(物理第2分野宇宙線研究室所属)が日本学術振興会の育志賞を受賞しました。
 平成21年の天皇陛下の御即位20年に当たって、社会的に厳しい経済環境の中で、 勉学や研究に励んでいる若手研究者を支援・奨励するための事業の資として、陛下から日本学術振興会に御下賜金を賜りました。 このような陛下のお気持ちを受けて、日本学術振興会が、将来、我が国の学術研究の発展に寄与することが期待される 優秀な大学院博士課程学生を顕彰することで、その勉学及び研究意欲を高め、若手研究者の養成を図ることを目的として、 平成22年度から「日本学術振興会 育志賞」を創設したものです。
信川さんは、全国・理系文系を含めた全分野の大学院生17名の1名として、第1回目の受賞をしました。
 信川さんの研究テーマは「X線天文衛星『すざく』を用いた天の川銀河中心領域の観測的研究」です。 主な研究成果は、「銀河中心高温プラズマの起源確定と多数の超新星残骸の発見」 「X線反射星雲の起源解明」「『すざく』搭載X線CCDカメラの較正」の3つです。
 「銀河中心高温プラズマの起源確定と多数の超新星残骸の発見」では、 X線観測の黎明期から、銀河中心全域からの強いX線、すなわち高温のプラズマの存在が指摘されていましたが、 広がったプラズマなのか、暗いX線の集まりなのかが論争になっていました。 信川さんは「すざく」を用いて高精度X線スペクトルを取得し、真に広がった高温プラズマの存在を確定し、 30年以上の論争に終止符を打ちました。
 「X線反射星雲の起源解明」では、「すざく」衛星で取得した過去最高精度のX線スペクトルから、 従来発見されていた鉄やニッケルに加え、アルゴン、カルシウム、クロム、マンガンの中性原子のK殻特性X線を 世界で初めて発見しました。その結果、分子雲のX線は外部からの強いX線照射の反射(トムソン散乱)と 蛍光特性X線(以後、輝線)であることを解明しました(X線反射星雲)。 また、そのX線反射星雲は射手座A*を焦点とする光行差約300光年の放物面上にあることから、 すなわち、主なX線照射の光源は約300年前の射手座 A*の単一フレアによる照射であることを解明しました。
 これらの観測的研究の成果は、信川さんの所属する本GCOE物理第2分野宇宙線研究室が開発した 「すざく」X線CCDカメラXISの優れた分光性能に依ります(「すざく」搭載X線CCDカメラの較正)。 信川さんは、「すざく」打ち上げ後のXISの性能較正を担当し、長い観測期間(5年以上)を通して安定し、 かつ高いエネルギー分解能を保つことに成功しました。 この較正データは全世界の「すざく」ユーザーのデータ解析のために 即時配信し、世界の宇宙物理学の発展に寄与しています。
 信川さんは、4月から京都大学白眉プロジェクトの年俸制特定教員(助教)として、宇宙線研究室で引き続き「すざく」衛星を用いた 観測的研究および、2013年度に打ち上げる予定のASTRO-H衛星の開発をする予定です。
 授賞式は2月1日に日本学士院にて行われます。

日本学術振興会 育志賞HP
京都大学白眉プロジェクトHP